オンラインワークが中心となった現代の職場では、ZOOMやTeamsなどのツールを使って会議を行うことが一般的です。
しかし、中には会議中は画面をずっとオフにするメンバーもいます。
画面をオフにすることで、コミュニケーションが円滑に進まない、信頼関係が築きにくい、といった課題が生じることもあると思います。
そこで、オンライン会議で画面をオフにするメンバーに対するマネジメントについて考えてみたいと思います。
画面オンを強制してしまうと、パワーハラスメントになってしまうのか?についても一緒に確認してみましょう。
理解と説明
あなたがマネージャーであると仮定します。
オンライン会議にて画面がずっとオフの配下メンバーがいる場合、その人がどんな表情で話をしているのか、または聴いているのかが気になると思います。
もしも、画面をオンにしてもらいたい場合は、
まずは画面をオンにしてほしい理由を説明しましょう。
どんな仕事でもそうですが、目的を伝えることに意識しないで指示すると「強制された」などの声があがりがちです。
以下のポイントを伝えることで、配下メンバーは理解しやすくなります。
コミュニケーションの円滑化
顔を見ることで、相手の表情やリアクションがわかります。
画面をオンにすることで、コミュニケーションがスムーズに進みます。
メンバー同士の円滑なコミュニケーションのためにも重要です。
相手の表情が分からないような環境だと、他のメンバーも発言しづらいかもしれません。
心理的安全性を確保するためにも、みんなが発言しやすい環境を用意するほうが良いと思います。
信頼関係の構築
顔を見ることで、相手の存在感を感じやすくなります。
信頼関係を築くためには、顔を見ることが重要です。
特に、オンライン中心の業務だと、孤独化、孤立化しやすいということもあります。
なぜ画面をオンにしてもらいたいのか?を積極的に伝えてることは重要です。
後述しますが、この背景や目的を事前に伝えないと、大変なことになってしまうかもしれません。
ルールの明確化
オンライン会議のルールに「原則、画面をオンにすること」を含めましょう。
以下のアプローチを試してみてください。
会議前にルール共有
会議前にルールを共有しましょう。
画面をオンにすることをルールとして設定します。
全ての配下メンバーに対して同じ基準を適用しましょう。
公平で透明なルール
ルールは公平で透明であるべきです。
みんなが理解しやすい形で伝えましょう。
ここで注意するべきポイントですが、例外のルールもしっかりと明示すること。
事前に、こういう場合は画面NGでも問題ないとします。
- 体調が優れないとき
- 家族が周りにいる場合
- その他、特別な事情がある場合
大切なのは、事前にしっかりとルールを公表することだと思います。
そうすることで、画面オフの人がいた場合でも、
上記のような状況だということが周囲にも分かりやすい。
背景画像はもちろん許容
背景画像まで選択するなというマネージャーはいないとは思いますが、プライバシーを必ず配慮してください。
自分の部屋を見せたくない、というのは当たり前のことです。
例話の時代に、ぼかしも入れるなという人もいないと思いますが。
個別のニーズへの配慮
やはり個別対応は必要です。
画面をオフにする理由は人により様々です。
以下のポイントに注意しましょう。
プライバシーの配慮
プライバシーのために画面をオフにしたい場合もあります。
個別のニーズに対して柔軟に対応しましょう。
疲労の軽減
長時間のオンライン会議は疲れることがあります。
配下メンバーが疲労を感じている場合は、画面オフにしても良いと思いますし、ぜひ理解を示しましょう。
特に、前日に深夜勤務しました、というメンバーがいれば、マネージャーから配慮するべきだと思います。
これは、画面オフオン問題に関わらず、ちゃんと配慮してほしいところです。
フィードバックと認識の共有
メンバーに対して定期的なフィードバックを提供しましょう。
画面をオンにしたことで、コミュニケーションが改善されたことや、他のメンバーとの協力が円滑に進んだことを共有してみてください。
画面オンにした時の効果などがみんなで認識できると思います。
画面オンのほうが業務が捗るよね!という意見が
メンバー内で浸透すれば良いと思います。
ポジティブなアプローチ
配下メンバーに対して「画面をオンにしていただけると助かります」というポジティブな言葉で促しましょう。
ネガティブな言葉や圧力をかけないように注意しましょう。
以下のアプローチを試してみてください。
例えば、感謝の意を伝えてみましょう。
「皆さんの協力があってこその円滑な会議です。
画面をオンにしていただけると、相互のコミュニケーションがさらに良くなります」と伝えます。
また、プレゼンなどでは、画面オフだと説得力が欠けると思いますので、どんな場面で画面をオンにしてもらうのが有効かを伝えてみるのも良いですね。
パワハラだと言われないために
さて、本題です。
「上司がオンライン会議で、画面をオンにしなさいと言われた。これはパワハラではないのか」
と言われたら、あなたはどうしますか。
パワハラと認定されないためにはどうするべきかをお伝えします。
すでにご存じの方も多いと思いますが、厚生労働省から指針が出ています。
以下の点に注意してください。
①優越的な関係に基づいて行われた言動
上司や同僚など、職場内で優越的な関係を背景にした言動がパワハラに該当します。
部下や同僚で知識や経験に差がある人からの行為も含まれます。
上司だけではないことにチェックです。
先に入社していた先輩社員も優越的な関係になります。
②業務の適正な範囲を超えた言動
社会通念上、明らかに必要がない言動や業務の目的から大きく逸脱している、または不適切な言動がパワハラに該当します。
業務の範疇か?という点がポイントです。
叱咤激励する場合も、必ず業務の範囲内で行いましょう。
③身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は職場環境を害すること
被害者に対して身体的または精神的な苦痛を与える言動や、職場環境を悪化させる行為がパワハラに該当します。
「職場環境を悪化させる」は、大勢の前で叱咤したなどが当てはまります。
具体的な注意点
上記内容に基づいてパワハラの判断が行われます。
では、今回のお題「画面をオンにするように促すことがパワハラにあたるか?」を一つずつチェックしましょう。
①優越的な関係に基づいて行われた言動か?ですが、
上司が配下メンバーに対して行っているので、該当します。
しかしながら、事前にメンバーに対してルールを明示することにより、その人だけに画面をオンにするように強制しているとは言えず、その点では反論できます。
②業務の適正な範囲内か否か?ですが、
画面をオンにする目的を事前に伝えています。
また、管理監督者には、配下メンバーへの安全配慮義務があり、その義務を果たすため、体調確認の目的などでメンバーの状態を画面で確認することは問題ありません。
ここも、事前に目的を伝えて、業務の範疇であると言い切りたいところです。
③身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は職場環境を害することですが、どちらも該当しませんよね。
むしろ、職場環境をよりよくするためにコミュニケーションを円滑にしようとしています。
以上より、オンライン会議にて、配下メンバーに対して画面をオンにするよう促す行為はパワハラとして認定はされないはずです。
しかしながら、その目的などを事前に伝えていないと明確にはならないので、安全策をとるためには、必ず目的やルールを事前に共有してくださいね。
まとめ
現代のオンラインワークでは、コミュニケーションや信頼関係の構築のために、オンライン会議で画面をオンにすることが一般的です。
しかし、画面をオフにするメンバーもいます。
マネージャーは、画面をオンにするよう促す際に、理由を明確に伝え、ルールを公平かつ透明に定める必要があります。
また、個別のニーズやプライバシーを尊重し、ポジティブなアプローチで対応することが重要です。
パワーハラスメントを避けるためには、業務の範囲内であることを明確にし、優越的な関係に基づいた言動でないことを確認する必要があります。
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