入社してすぐに欠務を繰り返す社員がいた場合、どうしますか。
当初予想していたパフォーマンスを発揮できていないと思うので、現場の上長や周囲のメンバーも大変ですよね。
入社してからすぐに欠務を繰り返してしまう社員に対し、使用期間の延長を提案することがあります。
以下では、このアプローチを行う際のポイントをまとめました。
上長からのアプローチ
体調不良が欠勤の主な理由である場合、社員の健康状態を考慮する必要があります。
まずは、上長との1on1等で、その人の体調確認をしてください。
その際の確認すべきこと、配慮すべきことを以下にまとめてみました。
症状と状態の確認
社員の体調不良の症状や現在の状態を確認しましょう。
具体的な症状や影響を把握することで、適切な対応ができます。
上長(会社)には、配下社員の安全配慮義務があります。
健康状態の確認は、現場上長にて行う必要があります。
何か後々トラブルが発生する場合でも、上長はしっかりと配下社員の健康状態を確認していたのか?が重要なポイントになります。
いつ確認して、その内容はどうだったのか、についても記録に残しておいてください。
医師の診断と治療状況
社員が医師の診断を受けているかどうか、治療を受けている場合はその内容や状況を確認しましょう。
医師の指示に従って行動しているかどうかも重要です。
「え、なんでそんなことを言わないといけないんですか?」と言われた場合、「会社として社員の健康状態を把握することは安全配慮上、必要である」と伝えてください。
医師の診断にて就業できない状態であれば、そもそも就業させてはいけないため、主治医の診断内容を尋ねることは可能です!
あなたの健康状態が心配なんですよ、という接し方が良いと思います。
また、会社ルールを確認しましょう。
欠務が○○以上の場合は診断書の提出が必要だというルールがあると思います。
おそらく、このルールは就業規則に記載されていると思います。
診断書の提出が必要になることは、その対象社員にも事前に伝えておきましょう。
年次有給休暇の残数確認
その配下社員の有給残数の確認を勤怠システムにて確認しておいてください。
年度付与や入社日付与などについては、それぞれの会社ルールがあります。
法令上は、6か月を経過しないと、有給付与の対象とはなりません。
しかしながら、最近は、入社してすぐに有給付与がされる会社が多いと思います。
欠務を繰り返す社員は、自身の残数も把握していると思いますが、勤怠承認者である上長も確認しておきましょう。
他のメンバーへの情報共有
欠務してしまう社員がいる場合は、その業務上の穴を埋めるために、他のメンバーに業務上のしわ寄せがいきます。
そこで、マネージャーとしては業務調整を行う必要があります。
他のメンバーに対しては、体調不良以上の情報は出さないでください。
健康情報は、要配慮個人情報にあたるため、
どこの病院で、どういう傷病で・・・は伝えない。
このあたりの情報管理は徹底ください。
昨今、大変厳しくなっております。
また、その欠務を繰り返してしまう社員が傷病休職などに至った場合には、その後しっかりとした説明が必要になります。
人事への情報共有
このような欠務を繰り返す社員の対応については、専門的な知識と経験のある人事担当者へ事前に連絡を入れておきましょう。
今後の対策を立てる際も、先に人事に情報共有を入れておいたほうが無難ですし、早い段階で協力してくれると思います。
また、休職に至ってしまう場合もあるため、先に会社のルールで不明な点があれば人事担当者へ確認しておいてください。
試用期間の延長に関する提案
欠務を繰り返す社員が未だ試用期間中の場合は、試用期間の延長を提案することができます。
しかし、これは就業規則などで、こういう場合には試用期間の延長を行う場合はある」とルール化されている場合のみに限ります。
ルールの確認
欠務を繰り返す社員について、いきなり懲罰を与えることはできません。
しかし、試用期間の延長ルールが定められている場合は、延長することが出来ますので、ここをうまく利用していきましょう。
規則を確認いただくと、「業務適性の評価が不十分な場合」という項目などがあると思います。
こんなルールがありませんか?
↓
一定期間の試用期間を経ても、社員の業務適性や能力を十分に評価できていない場合、試用期間を延長することでさらなる評価期間を確保し、適切な判断を行うことができる。
このルール化された条件で、試用期間の延長を提案します。
また、もしも主治医の判断で就業できないとなった場合は、休職となります。
以下については、休職事由に当てはまらないもの(ただの勤務不良)として考えてください。
情報収集
欠務を繰り返しているため、通常勤務することを前提としたパフォーマンスを発揮できていないと思います。
- どれくらいの頻度で欠務をするのか?
- 所定労働時間に対し、どれくらいの時間が不足しているのか?
- いつ欠務したのか。
- 欠務する場合の方向は、しっかりと行っていたのか?
こんな情報を収集してください。
通知書の作成
人事と協力し、試用期間の延長に関する通知書を準備しましょう。
通知書には、以下のことを記載します。
- 延長期間: [延長される期間]
- 延長理由: [延長する理由や目的を具体的に記載]
- 根拠条文 [就業規則の条文を記載]
面談の設定
社員との面談のために、適切な日時を設定し、必要な資料を準備します。
ここは、人事と一緒に開催できれば良いです。
そこで、今までの経緯について認識相違なかったかの確認し、通知書をお渡ししましょう。
あくまでも試用期間の延長は、改善を促すためのもの。
試用期間中に勤怠良好となるよう、改善されることを期待すると伝えましょう。
どの程度で勤務良好か?についてですが、所定勤務日の8割以上の就業は最低限必要だと思います。
根拠としては、有給休暇の付与基準である「全労働日の8割以上の出勤」が妥当かと。
フォローアップとサポート
使用期間延長後も、社員の状況や業績を定期的にフォローアップし、サポートを提供します。
必要に応じてフィードバックや調整を行いながら、社員の成長や活躍を支援します。
勤務記録は人事も気にしているはずですから、その後の本人の勤務状況と業務遂行状況について人事にも共有をお願いします。
また、引き続き欠務の申し出があった場合は、その連絡手段とタイミングが適正に行われていたのかを確認し、記憶しておいてください。
まとめ
まとめると、次のようになります。
欠勤を繰り返す社員に対するアプローチは慎重に行われるべきであり、上長や人事、他のメンバーとの連携が必要です。
社員の健康状態を充分確認し、医師の診断や治療状況を把握することが重要です。
また、会社のルールや試用期間の延長条件を確認し、適切な措置を取る必要がありますので、ルールを確認しながら慎重に手続きを進めましょう。
せっかく入社いただいた社員なので、できれば改善してもらいたいもの。
延長後も定期的なフォローアップとサポートを行い、社員の成長や活躍を支援してください。
コメント