外国籍の人材を採用する際、人事担当者は「ビザ」と「在留資格」の違いを正しく理解しておく必要があります。
これらはよく混同されがちですが、実際には異なる概念です。
本記事では、具体的な例を交えながら、これらの違いを明確に説明し、人事担当者が適切なサポートを提供できるようにします。
少子高齢化の影響もあり、今後は労働力不足が考えられます。
そこで、海外から労働者を雇い入れる企業が増えてきましたね。
ビザとは?
ビザの基本
ビザとは、ある国の政府が外国人に対してその国への入国を許可するための公文書です。
ビザは、入国する目的や滞在期間に応じて様々な種類があります。
例えば、観光ビザ、学生ビザ、就労ビザなどがあります。
ビザ取得のプロセス
ビザを取得するには、通常、申請者は訪問予定の国の大使館や領事館に申請を行います。
必要な書類や情報を提出し、場合によっては面接を受ける必要があります。
承認されれば、パスポートにビザが発行されます。
在留資格とは?
在留資格の概要
在留資格は、日本において外国人が特定の活動を行うために与えられる資格です。
これには、就労、学術研究、家族滞在など、多岐にわたるカテゴリーがあります。
在留資格の取得方法
外国人が日本で活動するためには、適切な在留資格を取得する必要があります。
これは、入国後に地方入国管理局で申請し、審査を受けることで取得します。
具体的な例で理解する
事例紹介:ジョンさんのケース
ジョンさんはアメリカ国籍を持つ人物で、日本のIT企業からのオファーを受けました。
彼のプロセスを追ってみましょう。
ビザの取得
ジョンさんは、まず最寄りの日本大使館で就労ビザを申請します。
必要な書類としては、採用通知書、職務内容説明書などが必要です。
申請が承認されると、彼のパスポートにビザが貼付されます。
在留資格の取得
日本に到着後、ジョンさんは地方入国管理局にて、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の取得を申請します。
この「技術・人文知識・国際業務」という在留資格は、企業で外国籍の方と雇い入れる場合はよく耳にすると思います。
やはりここでも、雇用契約書や会社概要などの書類が必要になります。
在留資格が認められると、ジョンさんは日本での就労が可能になります。
この申請にあたり、人事担当者が求められるのが「前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)」です。
在留資格の申請に必要になりますので、すぐに提出できるように準備しておきましょう。
在留資格の確認を怠った場合のリスク
在留資格を確認しなかった場合、企業はいくつかの法的リスクや罰則に直面する可能性があります。
日本においては、企業が外国籍の従業員を雇用する際には、その従業員が適切な在留資格を持っているかどうかを確認する義務があります。
以下に、在留資格の不備が企業に与える影響をいくつか挙げます。
法的責任と罰則
企業が在留資格を持たない外国人を雇用した場合、出入国管理及び難民認定法違反に問われる可能性があります。
これは罰金や、場合によっては事業主や関係者の刑事罰につながることもあります。
ここは、結構慎重に確認を行いたいところです。
人事担当としては、かなり恐いでポイントです。
企業の信頼性低下
在留資格を確認せずに外国人従業員を雇用するという事実が公になった場合、企業の社会的信頼性や評判に大きなダメージを与えかねません。
これは将来の採用活動や顧客との関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
ビジネス運営への影響
不適切な在留資格で働いている従業員がいると判明した場合、その従業員は直ちに職を失うことになり、その結果、企業の運営に支障をきたすことがあります。
特に、その従業員が重要な役割を担っていた場合、業務に大きな穴が生じる可能性があります。
日本国内に適切なプロ人材がいないから海外から呼び寄せるケースも多いので、企業としてはかなり痛いですね。
監査や調査への対応
在留資格の不備が発覚すると、政府機関による監査や調査が行われることがあります。
これには時間や資源がかかり、日常業務に影響を及ぼす可能性があります。
人事としては、このようなイレギュラーな対応は回避し、本来行うべき業務を進めたいところです。
まとめ
人事担当者は、外国籍の人材を採用する際、まずはビザと在留資格の違いを理解し、適切なガイダンスを提供することが重要です。
ビザは入国の許可を、在留資格は国内での特定の活動を行う資格をそれぞれ意味します。
この二つの違いをしっかりと把握し、適切な手続きを支援することで、外国籍の従業員がスムーズに業務を開始できるようにサポートすることが求められます。
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