新卒社員の皆さま。
社会人になり、4月には初めての給与をもらうことになると思います。
初めてのお給与は、何に使いますか。
会社から支給される給与ですが、残念ながら支給された金額から、手取り金額に至るまでいろいろと引かれてしまいます。
私はいつも新卒社員へお伝えするのですが、せっかくの自分の給与なので、
何を引かれるのか。
なんで引かれるのか。
引かれたものは、何に使われるのか。
このあたりを認識しておいたほうが、気持ちよく給与を受け取れると思いませんか。
頑張って働いた、大切な自分の給与なのでしっかりと見ていきましょう!
この記事は、新卒新入社員の方だけでなく、人事担当者が社員に向けて給与の仕組みを説明するためにも大活用いただけます。
社会保険料の控除
さて、いきなり問題です。
ひとくくりに、社会保険と言うことがありますが、何があると思いますか。
答えは、
- 健康保険料
- 介護保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
です。
健康保険料、介護保険料
医療機関を受診する際に健康保険証を提示します。
これは医療費の一部をカバーする保険です。
医療機関に行くと、医療費を支払いますが、その7割分を保険でカバーしています。
企業に勤めている会社員ですと、国民健康保険ではなく、企業が加入(運営)している健康保険組合または協会けんぽに加入となります。
また、医療機関にかかる時だけでなく、例えば業務災害以外で私傷病を患った場合には、傷病手当金も支給されます。
これから社会人を経験する皆さん。
働く期間はとても長いですが、その間には休職という選択をとる場合もあるかもしれません。
休職期間中は会社からの給与支給は原則ありません。
(失効した有給休暇を積み立てておく積立年休などがある会社もあります)
そこで利用できるのが健康保険の制度の一つである傷病手当金。
私傷病により休職する場合は、働いていた時の2/3程度の給付金を受け取ることができます。
介護保険料は、40歳以降に発生する保険料ですので、新卒の方には今はまだ関係ありません。
また、健康保険料は会社と従業員が折半で払う必要があります。
なので、新卒社会人の皆さんに言いたいことは、発生する健康保険料の半分は会社が負担してくれているということ。
仮に1万円給与から引かれていたら、会社が1万円負担してくれています。
ここは見えない部分なので、分からないかもしれませんが、会社はあなた方を雇用するのに、とても多くの費用が必要になるのです。
健康保険について最後に質問です。
扶養家族が多ければ多いほど、保険料は高くなるのでしょうか。
答えはNOです。
国民健康保険料とは違い、扶養家族の人数によって保険料が高くなることはありません。
(すごく細かい話をすると、イレギュラーはありますが)
では、どうやって保険料って決まっているのでしょうか。
これは、個人ごとの給与額によって決定されます。
新卒社会人の皆さんには、少しだけ先の話ですが、毎年4~6月の総支給額などを基に決定されているのです。
厚生年金保険料
年金の話をし始めると長くなりますが、ここは簡単に説明します。
皆さんも20歳になった瞬間から年金保険料を納めていると思います。
学生納付特例制度もあるので、免除されている場合もありますが、20歳から国民年金保険料が発生します。
ただ、会社に雇用されて働く会社員の皆さんは、この年金制度が「厚生年金」に加入となります。
厚生年金保険料は、健康保険料よりも高いです。
そして、この厚生年金保険料についても、会社が半分負担してくれています。
厚生年金については、その名の通り、年金に関する保険料です。
では、今給与から引かれている年金保険料は、将来あなた方がもらえる年金でしょうか。
答えはNOです。
年金制度は現役世代が支払う保険料から、現在の高齢者世代に支給される仕組みです。
一般的には、現役世代が年金保険料を支払い、そのお金が現在の高齢者たちの年金として支給されます。
将来的には、現在の若い世代が支払った保険料から、将来の高齢者世代への年金が支給されることになります。
このように、年金制度は世代間の連帯の一形態として機能しています。
雇用保険料
雇用保険料はいかがでしょうか。
新卒社会人だと、まだ馴染み無いですよね。
失業保険はどこかで聞いたことありますか。
雇用されている会社を退職し、次の会社に就職する際に、国から求職手当が支給されます。
また、長い職業人生、間に育児や介護などの働けない期間も生じるかもしれませんがそこでも一定の給付を受けることができます。
さらに、高年齢雇用継続給付金という制度もあります。
高年齢雇用継続給付金(以下、高年齢給付金)は、日本の雇用保険制度の一環として、60歳以上で就業を続けるための支援制度です。
高年齢給付金は、高齢者の雇用継続を促進し、企業と労働者の両方にメリットをもたらすことを目的としています。
労災保険
おまけです。
実は、給与明細書を見ても、この労働保険料という項目はありません。
なぜなら、労働保険料は会社が全て負担する必要のある保険だからです。
例えば、業務中にケガをしたらどうしますか。
会社は、社員の健康と安全を守る義務があります。
よって、業務中のケガについては、昔は会社が全てその治療にかかる費用を負担していました。
しかし、会社によっては、負担が大きいです。
そのために保険という制度が出来ました。
見えないところで、会社は色んな費用を負担してくれているのです。
ただ、やはり業種によって労災が発生しやすい業種とそうではない業種があります。
業種ごとに保険料率も違うんですよ。
ここまでで社会保険料コーナーは終了です。
所得税の控除
さて、続いては所得税のコーナー。
所得税は、個人や法人などの収入(所得)に課せられる税金のことです。
一般的に、収入が多いほど支払う税金も多くなります。
所得税の額は、所得の金額や種類、個人の状況(家族構成など)によって異なります。
個人の所得税は、給与や事業所得、不動産所得、株式などの譲渡所得、年金などの各種収入から計算されます。
会社勤めであれば、年末に年末調整というものがあります。
会社から案内されると思いますので、その案内に従い申告してみてください。
(分からなかったら聞いてください)
所得税の計算は、毎年1月から12月で計算されます。
年末調整という仕組みについても簡単に触れておきます。
1年間で計算されるのに、毎月所得税が引かれている意味って何でしょうか。
1年間だとこれくらいだろうという予定額を案分した金額が毎月控除します。
で、年末に再度計算を行い、過不足を計算する。
これが年末調整です。
また、新卒社会人の皆さんは4月入社が多いと思います。
1年間で計算するために、もしもその年の1~3月までアルバイトをしていた場合は、そのアルバイト収入も一緒に計算する必要があります。
なので、会社から「入社年に収入があった場合は、源泉徴収票を提出してください」と案内があるはずです。
住民税の控除
ようやく住民税ですね。
住民税は、日本国内の市町村が住民から課税する税金の一つです。
住民税は、所得に応じて計算され、一般的には給与や事業所得、不動産所得などの各種収入に基づいて課税されます。
住民税の計算は、国や地方自治体の条例に基づいて行われます。
具体的な税率や控除額は地域によって異なりますが、一般的には所得が高いほど税率も高くなります。
住民税は、給与所得者や事業主などが年度ごとに申告し、納税する必要があります。
税金は市町村に納められ、地方自治体の財源として利用されます。
手取り額の具体的計算例
全体を通して、手取りに至るまでの給与計算を見てみましょう。
- 月収:30万円
- 健康保険料:10,000円
- 厚生年金保険料:20,000円
- 所得税源泉徴収額:15,000円
- 住民税源泉徴収額:5,000円
手取り額の計算
月収 – (健康保険料 + 厚生年金保険料 + 所得税源泉徴収額 + 住民税源泉徴収額) = 手取り額
具体的な計算
30万円 – (10,000円 + 20,000円 + 15,000円 + 5,000円) = 30万円 – 50,000円 = 25万円
こんな感じです。
控除される金額はありますが、色んなことに利用することができます。
よく、こんなに税金とか引かれるのはおかしい!と言われることがあります。
が、会社も負担している部分もありますし、ケガや病気など人生予期せぬことが発生した時にもその保険料が活用されます。
こんなに給与から引かれる!と嘆く前に、なぜ引かれているのか?をまずは知るべきです。
知った後に、引かれすぎか否かを判断したほうが建設的ですよ。
まとめ
給与から引かれる各種控除について理解できたでしょうか。
社会保険料、所得税、住民税などは、将来の安心や地域の発展に貢献するために引かれます。
給与明細書を受け取る際、控除について理解を深めておくことで、自身の給与や社会の仕組みに対する理解が深まります。
それでは、安心して働くための知識を活かして、より充実した社会人生活を送りましょう!
応援しています~。
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