はじめに
車通勤者にとって、通勤手当の非課税限度額は重要な問題です。現在、日本政府は2025年秋にもこの非課税枠を引き上げる予定と報じられています。本記事では、その背景や目的、影響について詳しく解説します。
1. 現行の車通勤手当の非課税限度額
現在の車通勤手当の非課税限度額は以下の通りです(出典:国税庁 No.2585)。
片道の通勤距離 | 1か月当たりの非課税限度額 |
---|---|
2km未満 | 全額課税 |
2km以上10km未満 | 4,200円 |
10km以上15km未満 | 7,100円 |
15km以上25km未満 | 12,900円 |
25km以上35km未満 | 18,700円 |
35km以上45km未満 | 24,400円 |
45km以上55km未満 | 28,000円 |
55km以上 | 31,600円 |
これは片道の距離に応じて設定されており、実際の支給額は企業ごとに異なります。
また、自家用車での通勤距離の全国平均は約11.9キロメートルと推定されています(出典:国土交通省調査)。この距離に該当する非課税限度額は7,100円であり、多くの車通勤者にとっての基準額となっています。これを考慮すると、今後の引き上げがどのように影響を及ぼすのか注目されます。
2. 非課税限度額引き上げの背景
政府が非課税限度額の引き上げを検討する背景には、以下の3つの要因があります。
① 燃料価格の高騰
ガソリン価格は近年上昇傾向にあり、特に2022年以降、原油価格の高騰や円安の影響で価格が高止まりしています。2025年1月時点の全国平均は182.9円/Lであり、前年同月比で4.34%上昇しています(出典:資源エネルギー庁)。
また、過去10年間のガソリン価格推移を見ると、2015年には120円/L前後だったものが、2022年以降急激に上昇し180円/Lを超える状況が続いています。
② 物価上昇(インフレ)
ガソリン代だけでなく、車の維持費(車検、保険、タイヤ代等)も上昇しており、通勤にかかるコストが増大しています。
2024年の日本の消費者物価指数(CPI)は前年比3.2%上昇し、特にエネルギー関連の価格上昇が顕著です(出典:総務省統計局)。
エネルギー部門では、電気料金が前年比4.5%増、ガス料金が3.8%増、ガソリン価格が5.2%上昇しました。
また、食料品の価格も全体で3.6%の上昇が見られ、家計の負担が増大しています。
③ 人材確保の課題
地方を中心に、車通勤を前提とした労働環境が多く存在します。
非課税限度額の拡大は企業の負担軽減にもつながり、従業員の定着率向上にも寄与すると考えられています。
3. どれくらい上がるのか?
現時点では具体的な引き上げ額は発表されていませんが、
- ガソリン価格の上昇率(約4〜5%)を考慮すると、
- 現行の非課税限度額の5〜10%程度の引き上げが検討される可能性があります。
例として、
- 25km以上35km未満の場合 → 現行18,700円 → 20,000円程度に増額?
- 55km以上の場合 → 現行31,600円 → 35,000円前後に?
政府の正式発表を待ちましょう。
4. 企業と従業員への影響
企業側のメリット:
- 従業員の経済的負担が軽減されることで、人材確保がしやすくなる
- 税務上の優遇措置が拡大し、コスト負担が減る可能性
従業員側のメリット:
- 実質的な手取り額が増え、ガソリン代の負担が和らぐ
- 会社からの支給額が増えれば、家計にプラスの影響
5. まとめと今後の展望
車通勤者にとって、非課税限度額の引き上げは大きなメリットとなります。
特に、ガソリン価格の高騰が続く中で、この措置は歓迎されるでしょう。
正式な引き上げ額や適用時期は、政府の発表を待つ必要がありますが、今後の動向に注目し、企業や従業員は適切な対応を検討することが求められます。
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参考資料
- 国税庁「No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当」
- 国土交通省「全国通勤交通実態調査」
- 資源エネルギー庁「ガソリン価格推移」
- 総務省統計局「消費者物価指数(CPI)」
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